決算対策とは(なぜ「決算前」なのか)
決算対策とは、決算日を迎える前に利益の見込みを把握し、納税額や資金繰りを見据えて打てる手を検討することをいいます。決算日を過ぎてしまうと、その期にできることはほとんど残っていません。だからこそ、決算の2〜3か月前から利益を予測し、早めに動くことが大切です。
ポイントは、「税金を減らすこと」だけを目的にしないことです。節税と、手元資金(資金繰り)、将来の成長への投資——この3つのバランスを意識して検討します。
経費・損金の見直し
まずは、その期に計上できる費用(損金)にもれがないかを確認します。
- 短期前払費用……1年以内に受けるサービスの前払い(家賃・保険料・サブスク料金など)は、一定の要件のもと、支払った期の損金にできる特例があります。
- 消耗品・備品の購入、修繕の前倒し……必要なものを期内に手当てする。
- 貸倒れ・不要在庫の整理……回収不能な売掛金の貸倒れ計上や、売れ残り在庫の評価減・処分を検討する。
- 未払費用の計上もれ……決算月までに発生した費用(社会保険料・利息など)の計上を確認する。
設備投資と税制の特例
設備投資を予定しているなら、税制の特例を活用できないか確認します。
- 少額減価償却資産の特例……取得価額30万円未満の資産は、中小企業者等であれば、年間合計300万円までその期に一括で損金にできます。
- 中小企業投資促進税制など……一定の機械装置などについて、特別償却や税額控除を受けられる場合があります。
投資は「必要なものを前倒しで」が原則です。節税のためだけに不要な買い物をすると、手元のお金が減るだけで本末転倒になりかねません。
役員報酬・共済・決算賞与の活用
- 役員報酬……原則として、事業年度開始から3か月以内に決め、毎月同額(定期同額給与)にする必要があります。期の途中で安易に増減すると、損金として認められないリスクがあります。利益計画は期首の段階から立てておきましょう。
- 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)……掛金を損金にしつつ、取引先の倒産などの“もしも”に備えられる制度です。
- 決算賞与……従業員へ支給する賞与は、支給額を期末までに各人へ通知し、期末後1か月以内に支払うなどの要件を満たせば、未払計上でその期の損金にできます。
やりすぎのリスクと進め方・まとめ
節税は大切ですが、行きすぎると次のようなリスクがあります。
- 過度な支出で手元資金が流出し、資金繰りが苦しくなる。
- 利益を圧縮しすぎると、金融機関の融資審査で評価が下がることがある。
- 実態の伴わない経費は、税務調査で否認され、本税に加えて加算税・延滞税がかかることも。
「適正に利益を残し、きちんと納税して内部留保を厚くする」という視点も、会社を強くするうえでは欠かせません。自社に合った決算対策は、利益が固まる前のシミュレーションがカギです。当事務所では、月次の数字をもとに早めの利益予測と対策のご提案を行っています。
※本記事は一般的な解説であり、2026年6月時点の情報に基づいています。各特例には適用要件や期限があり、実際の取扱いは個別の事情や法令・税制の改正により異なる場合があります。具体的なご相談は当事務所までお問い合わせください。